患者様目線のクリニックの内装とは

内装

クリニックの内装の基本となるのは「患者様目線」です。
もちろん、治療を行う医師やサポートするスタッフの動線も大事ですが、患者様にせっかく来院していただけたなら、快適に過ごしていただきたいものです。

「居心地の良さ」「安心できる」「気軽に相談できる」など患者様の気持ちに添った内装になることを心がけましょう。

患者様がクリニックで気にするポイント

受付の視認性

当然のことですが、入ってきた患者様からスタッフが見える・わかる、受付にいるスタッフからの患者様の状態が見えるというのは大きなポイントです。

・入ってきた患者さんへの迅速な対応
 ・待合室で待っている患者さんの状態チェック
 ・受付内から待合室への出入り
 ・受付カウンターの高さと荷物置き場

逆に、座席で座っている患者さんの視線は、なるべく受付以外へ向けるのがポイントです。受付に視線が集まると、受付事務のスタッフは、常に監視されている状態とになりプレッシャーに感じるでしょう。

また、待合室で待っている時間が長い場合、イライラした視線で見つめられることも考えられます。入口から入ってきた患者様は受付のスタッフを確認できるが、待合室の患者様の視線は受付に向かないのが理想です。

患者様用トイレ

医療機関において、トイレは重要な施設です。患者様がトイレで気にするポイントは以下の通りです。

・出入りの視線
・清潔感
・女性専用トイレの有無
・遮音性(防音性)

扉を開けたときに待合室から便器が見えると不潔に感じたり、出入りする姿を見られたくないという方がいらっしゃいます。また、「男性が使ったあと使いたくない」という女性の方は増えてきていますので、女性専用トイレを設置するなどの配慮が必要です。

その他、広さによって仕様や備えるものが以下のように変わってきます。

 ・車椅子対応
 ・小便器の有無
 ・ベビーシート(オムツ交換台)
 ・ベビーキープ(ベビー専用チェア)
   ・小児専用の便器(小児科の場合)
 ・化粧台 など

レイアウト

患者さんが診察や検査で呼ばれた際に、の部屋に入ればいいのかいいのかが分かりやすいことが重要です。またその移動が短い方が回転率が上がります。

 ・動線の効率化
 ・コンパクトな設計
 ・移動距離が短い
 ・混雑する箇所を作らない(特に受付時・会計時)
 ・案内のしやすさ
 ・院長室やスタッフルームは奥に設置(患者さんが入らないエリア)

建物やテナントの形状によっては、全てを考慮するには無理がある場合があります。その際は、院内サイン等にて誘導を行うと良いでしょう。

また、診療科目により室名サインのサイズや表記を変えたりすることも重要です。

プライバシーの保護・配慮

診察中他の患者様に会話が聞こえていないか、待合室から診察室の中が見えていないか、などクリニック側が思う以上に敏感な患者様はいらっしゃいます。

 ・待合室で音楽を流す
 ・待合室の椅子の配置に工夫(椅子を診察室の方に向けない等

完全な対策は厳しいので、最大限の配慮が必要です。

待合室・その他の環境

 ・バリアフリー
 ・土足対応
 ・ウォーターサーバー
 ・空気清浄機
 ・加湿器
 ・照明器具
 ・居心地の良さ
 ・インフォメーション(掲示物・モニターなど)

その他、スタッフさんの対応や院内の整理整頓具合(特に受付周り)を見ていますので、ハード部分だけでなく、ソフトな部分も大切となります。

さいごに


まず、クリニック内装・設計において一番最初に考える場所は、診察室でも、処置室でも、ましてや大きな院長室でもありません。患者様の待合室です。

クリニックの内装・設計にあたり、「自分の理想・好みのクリニックにしていきたい」という要望があるのは当然だとは思いますが、患者様は、病気をわずらって来院しているのですから、気持ちがリラックスできてゆったりとした空間でお待ちいただくことを念頭に置いてみてください。